① 「て」の使い方。
ア) 動作をならべ、またはつけ加える。「起きー顔をあらう」
イ) 原因、理由を示す。「暗くー見えない」
ウ) 方法、手段を示す。「泣いーわびる」
エ) ・・・のに。「知っていー知らぬ顔をする」など。
☆欲なんてないと言いつつ着て食べて この句の「て」は、欲はあるのだが軽く否定することによって、下5の肯定
に結び付けている。だが句としては、言いつつによって説明形の句となってしまった。
★欲なんかないと言いつつ着て食べて
★欲なんかないと言いつつ着る食べる 「か」にすると、「て」よりも否定が強まり、下5の肯定との落差が大きくは
ならないだろうか。そして「る」にすることによって、さらに落差が広がりはしないだろうか。
★欲なんてないはと欲の衣食住 添作句 ★欲なんかないぞと欲の衣食住 「て」と「は」を「が」と「ぞ」にしてみよう。
心の奥底にある人間の欲の深さがさらに強調されないだろうか。
② 「に」の使い方。
ア) 時を示す。「六時ー起きる」
イ) 場所、方向を示す。「札幌―住む」「右―まがる」
ウ) 行き着く場所を示す。「小樽―着く」
エ) 目的を示す。「つりー行く」
オ) 動作、作用の及ぶ対象を示す。「友達―話す」
カ) 比較の基準を示す。「兄は父―似ている」
キ) 原因を示す。「病気―苦しむ」
ク) 動作、作用のおこるもとを示す。「老人―話を聞く。
ケ) 状態を示す。「直角―まじわる」
コ) 変化した結果を示す。「春―なる」など。
「には(庭)」を崩して「の(野)」にせよ、と俳諧の世界では言われる。助詞の「に」や「は」を避けて、「の」にしたら
よい句になるという教えである。
☆愛犬に死なれ涙止まらない 愛猫では駄目か。一般的な原因の報告であり、悲しみの報告となっている。
★愛犬に死なれて妻は泣きやまず 妻という主人公を入れることによって、愛犬の死への悲しみが自己のもの
として描出されないだろうか。
★愛犬の死よ涙がとめどなく 添作句 ★愛犬の死よ妻も子も泣きやまぬ さらに添削。
「よ」で死を強調して、妻も子もの「も」によって夫の気持ちをも表現させることができる。
③ 「を」の使い方。
ア) 動作の対象を示す。「水―を飲む」
イ) 経過する場所を示す。「空―とぶ」
ウ) 経過する時間の幅を示す。「一年―すごす」
エ) 動作の起点を示す。「故郷―はなれる」
オ) 感情、可能の対象を示す。「お茶―のみたい」等。
☆親友をあの世に送り涙する 主人公はいるのだが、愛犬・愛妻・恋人 でもいいのであって上五が動く句である。
「を」によって感情を高めてはいる。
☆親友をあの世の星にふく涙 あの世は送るものであるから削除する。★親友を送る涙は黄泉に散り 添作句
★親友を涙の胸で棺の灯 さらに添削。悲しみの感情をどのように表現するか、「を」に込められた想いをさらに深
めることが求められる。
④ 「は」の使い方。
ア) とくに取り上げていうのに使う。「さかなー食べない」
イ) 述べる題目を提示する。「これーぼくの本だ」
ウ) 対照的に示す。「コーヒーーだめだが、紅茶―飲んでよい」
エ) 断定の言い方を強める。「兄でーない」
オ) 「打ち消しを下に伴って」そのことばの内容が否定されるものであることを示す。「強くー要求できない」
カ) 「そうなると」の意味をあらわす。「期限におくれてー困る」
キ) 「そのたびごとに」の意味をあらわす。「寄せてー返す波」など。
☆無欲にはとても無理ですほとけさま
◇ふるさとは過疎で若者去って行く 「は」によって、無欲とふるさとを特に強調して、中七によってそれを反転さ
せて舞台を作り上げている。
★無欲にはとてもなれない仏さま 添作句。 さらに★無欲にはなれない鬼よ仏さま
◇を添削してみる。◆ふるさとは過疎に若者消える音 添作句。
さらに添削して◆ふるさとは過疎に若者けした風
上五を「は」で止めた場合には、中七以降の言葉によっていかに否定形を深めるかが問題となる。
⑤その他の助詞の使い
「が」は主語を強調する。「と」は対象を並べて表現するときに、軽やかに響いてくれる。「の」は事柄と事柄を結び
関係の深さを表現する。「も」はどれか一つに決めかねて同種の物事を列挙するときなどに用いる。「よ」は呼びか
けや、軽い感動、念をおす、疑問などをあらわす。
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