川柳上達法 ③句 姿
1) 句姿とは
17音で表現したときに、作品の姿、句の姿の正調美に気をつけているだろうか。ただなんとなく漢字やひらが
なやカタカナを17音に並べて、ようやく一句ができたと喜んではいないだろうか。万物のそれぞれが美しさを持
っているように、句にも美しさを持たせなければならないと思っている。
日本語は、表意文字の漢字と、表音文字のひらがなとカタカナの二種があるので、この特色を生かした書き
言葉の美しさの魅力、視覚的な楽しさも考えて、いろいろと遊んでみることも必要である。
2) 句姿と表記法
同じ音でも表記法を変えると違う内容になる。「ふらんすへ行きたしと思えどもフランスは余りに通し」を「仏蘭
西」にしたら、朔太郎の頼りなげな詩情が消えてしまうでしょう。日本語の書き言葉にあるおもしろさは、何ものに
も替えられません。世界中見ても、これほど特異な書き言葉は無いと思います。(北海道新聞・行間往来「水村
美苗さんの言葉」より引用)。
いかに日本語の表記法に注意をして、それぞれが持っている言葉の詩情を生かすことが大切だと思う。日本
語を駆使して最短詩である川柳で表現する喜びと楽しみを与えられているのであるから、川柳人としても最大限
に日本語の美しさを活用する必要があるのではないかと思う。
3) 句の美しさ
文字をどのように配置させるか、耳で聞く川柳とは違って眼で見る川柳においては、文字のバランスの妙味も
また作句する上での楽しみでもある。
僕の作品を参考にしてみる。
てのひらに命のほてりひめしまま 第12回北海道川柳大賞
生きてますつくしたんぽぽほとけみち 同
むしくいのまるたにきせるみつぞろい 水脈
くびもげたかかしまっかなねくたい 同
焼酎とコロガル父ハハノ骨ヨ 公論
納豆オ食ラウ戦車ガ糸オ引ク 同
からっぽの村が まんぱいの酒が あかしや集
百均の皿が リストラの首が 同
さて句姿はどのように変化するのだろうか
1.皆土になるのさ人間の祭り
手のひらに命の火照り秘めしまま
生きてます土筆たんぽぽ仏道
虫食いの丸太に着せる三つ揃い
首捥げた案山子真っ赤なネクタイ
焼酎と転がる父母の骨よ
納豆を食らう戦車が糸を引く
空っぽの村が 満杯の酒が
百均のさらが リストラのくびが 要:番号の修正確認
4)文字で絵を描く
キャンバスに絵を描くように、色彩のない文字で絵を描くためには、いかに文字の組み合わせに気を使うか
が重要である。言葉で書くのは簡単なのだが、実際に表現するとなると難しいのかもしれない。だが表現者と
しては、よりよい一句を生み出すためにはあらゆることに挑戦しなければならない。 色紙に書くように文字の
バランスを考えて表現できたならば、生きた17音としてキラリと輝くのかもしれない。
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