川柳の上達法 ㉗ 川柳の自選力

 

  1、自選

      自選とは、選者の目を通さずに、作者自身が自分の句を選択することであるから、厳しい目を持た

      なければならない。そのためには、課題吟と雑詠吟によっては、多少の違いが生まれてくる。

 

2、課題吟の場合

     ① 一題に対して何句作るか。

     ② 題を基調にして、いかに発想を膨らませるか。

     ③ 題を読み込むか、読み込まないか。

     この三点を念頭において作句することが大切である。

     ① 一題に対して何句作るか。

       イ、一題に三句提出であれば、三句しか作らない人が多いのではないだろうか。となると、自選

          の必要はなくなる。入選の確立は少なくなる。

       ロ、例えば六句作った場合には、三句に絞る必要がある。さて、どのようにして三句を落とすの

          か、が問題となる。②が必要となる。

    ② 題を基調としていかに発想を膨らませるか。

       イ、誰もが考えつきそうな発想の句は捨てる。

       ロ、課題であっても、一句は自分の心を詠う。(実像を描く)

       ハ、虚像であっても、実感をベースにした句は訴える力がある。

    ③ 題を読み込むか、読み込まないか。

       イ、題を出来るだけ上五に使用しない。(実例が多すぎる)

       ロ、三句であれば、混合で作句する。

       ハ、題の意味性を重要視した句の方が、高点に抜かれやすい。

              二、余りにも抜かれることに重点を置かずに、自分を忘れないことである。

 

3、自選力とは

     自選をするには、選句眼を養うことである。そのためには、選者の心になることである。選句眼を研

     くことによって、作句力も向上し、自選力も自ら備わっていく。

     ① 他人の句を評価する眼を養うことによって、自分の句の善し悪しを見極めることが可能となる。

       秀作を仕舞い込んで、駄作を提出することがなくなる。

     ② 自分で感動したか、心を動かす句は共感を呼ぶはずである。

     ③ 良くない句と判断するためには。

      イ、みんなが言っていることで、一般論である。

      ロ、格言のようであり、道徳のようである。

      ハ、余りに虚構的である。

      ニ、既発表句を模倣している。

       などを考えながら、自分の句をチェックすることが大切である。それでは、良い句と判断するために

       は、なにが必要なのであろうか。

       ④ 良い句と判断するためには。

      イ、発想が豊かで新鮮味がある。

      ロ、一読して心が動かされる。

      ハ、一編の物語を生み出している。

      ニ、人間の喜怒哀楽を抉り出している。

     良い句と良くない句の判断基準を基にしても、それはあくまでも個人が判断するものであって、不

           変のものではない。なぜならば、個人も選者も好みが違うからである。自分にとっての良い句が、

     選者にとっては必ずしも良い句とはなり得ないのである。

     したがって、いかに自分の川柳感を基調にして、選句眼を養うのかである。句を生み出すことは、

     抜かれることではなく、自分の思いを吐き出すことなのであるから、その心を大切にしたい。自選力

     とは、川柳を愛し、自句を慈しみつつも、客観視できる心と眼を養うことに結びついていく。