巻頭言
「初心わすれるべからず」
川柳は5・7・5で17音の定型を基本とする俳句と同様、世界で一番短い短詩型
文芸の一つと言われています。
最近、サラリーマン川柳や新聞などへの投稿川柳などで17音以上の音数で作句し
ている作品を見かける事があります。17音は川柳のひとつのルールです。川柳より
長い歴史の和歌には、31音以上の作品はほとんど見られません。作句にあたっては
常に17音を意識したいと思っています。
大正9年に東京で産声を上げた「川柳きやり吟社」では5・7・5、17音以外の
句は柳誌に掲載されません。百年以上もの間このルールは守られています。各川柳
社(会)によっては考え方も目指す方向も違いますので、一概には言えませんし、川
柳に正解は無い!と思っていますが、やはり定型は守りたいです。
「川柳さっぽろ」でも、中八、下六の句を見かけることがあります。中八、下六
を容認している川柳の参考書も見かけます。決して否定をするわけではありません
が、260年もの歴史のある文芸ですから、出来れば5・7・5、17音のリズムで
作句したいものです。音数の確認を句の提出時にしっかりすることも必要でしょう。
今年、川柳を始めて30年目の節目の年になります。今一度初心に戻って、5・7
・5と指を折りながら作句した日々を思い出して、17音の世界を楽しみたいと思い
ます。❝初心忘れるべからず❞なのです。
今一度初心にかえり五七五 佐藤 芳行
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【あかしや集】:岡崎 守 選
・年金で鰻秋刀魚が食えぬ国 佐藤 正文 ・・・ 特選句
・値上げにも愚痴は言うまいなんもさと 石川 黎華 ・・・ 秀 句
・原発の海がさ迷う世界地図 荒井とも子 〃
・汚されていつか仕返しする地球 柴田加奈子 〃
・沸騰の夏遠く去りところてん 小林ともき 〃
・帰郷して木綿の風に癒される 清水 玲子 〃
・錦秋の藻岩へうたい出す絵筆 木村 規子 〃
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【ぽぷら集】:松本 淳子 選
・思春期の頁ツンツンしてみたり 小杉山雅子 ・・・ 特選句
・異議はある其の何倍もありがとう 橋本利恵子 ・・・ 秀 句
・地球はや酷暑酷寒二季となり 福島あけみ 〃
・躓いた石はあのとき置いた石 石出 栄光 〃
・待合室無言瞑想修行僧 中津 遊水 〃
・札束でトイレ貸せよと核のゴミ 相澤 重明 〃
・よそ行きの言葉羽織って子の帰省 大坪 寒流 〃
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【幌 都 集】:澤野優美子 選
・どん底の片袖だけの貌になる 浜 正吉 ・・・ 金鈴抄
・練り上げる辛抱強く聞く力 高橋 節也 〃
・無くなってお部屋は狭くなりました 飯澤 理子 〃
・鉢花を日脚に合わせおもてなし 田村のぶ江 〃
・シンプルに生きて自由な最終章 佐藤 園江 〃
・粘っても勝てなかった恋いくさ 一家 汀 ・・・ 秀 句
・口輪筋声帯鍛え「あいうえお」 澁谷ノリ子 〃
・煌めいた過去だけ残す宝石箱 亀貝えみ子 〃
・潮騒を読んで三島が好きになり 桐澤都志子 〃