2022年10月号

 巻頭言

   「交換誌

 

       毎月全国の川柳社から、相当数の交換誌が届きます。巻頭言や地域の特色のある

   作品に触れながら、勉強させて頂いています。

    さて、年齢のせいなのか、活字の小さな柳誌が多いのに驚いています。眼鏡をか

   けても読みづらいので、読むのを諦めてしまいます。川柳社の内部でも、購読者か

   らも苦情が無いのだろうかと案じています。

    確かに活字を大きくすると、増ページをしなければなりません。それぞれの川柳

   社が緊縮財政の中で発行されているのが実情ですので“言うは易く行うは難し”とは

   思っているのですが。

    でも、折角の作品が読まれなければ、との危惧を抱いているのも本音なのです。

   確実に読者は高齢化しています。目も耳も脳も悪くなっていきます。解決策は無い

   のでしょうか。

    活字を少しでも大きくして、ページ数を減らして、読みやすくすることは不可能

   なのでしょうか。柳誌の値上げは出来ませんので。

    同人誌という宿命の中で、高齢化社会と如何に対応していくか、本当に悩ましい

   現実を抱えているのです。各川柳社が、支援基金を募集して何とか凌いでいます。

    川柳社や川柳誌の合併を考える時が来ているのを痛感しています。

 

        灯を消すな柳誌を守れ幸齢化  岡崎  守

    

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   【あかしや集】:浪越 靖政 選

 

   ・ほおずきが色づくように好きになる   清水ひろ子 ・・・ 特選句

   ・ある種の擬態秋の衣を纏う       藤澤美津子 ・・・ 秀 句

   ・非常口錆びたラッチが気にかかる    松本 淳子      〃

   ・もう少しいやまだまだと崖っぷち    志村ふみ子      〃

   ・解除キー押して圏外まで逃げる     小野寺三陽      〃

   ・平和こそ持続可能の一番地       間宮 和代      〃

   ・気温上昇脱毛男子増えていく      酒井 麗水      〃

 

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   【ぽぷら集】:佐藤 芳行 選

 

   ・百歳の世覗きたくてスクワット     出雲恵美子 ・・・ 特選句

   ・平凡に生きて忘れぬ好奇心       井上 サヨ ・・・ 秀 句

   ・故郷は母に優しいまるい空       原田つとむ      〃

   ・サユリスト僕の青春今もなお      村上 辰雄      〃

   ・秋ひと日情念はこぶ風の色       岡崎 光子      〃

   ・道産子の口調と訛り味がある      東  考矢      〃

   ・旧姓で呼ばれた様な風の音       小山 和子      〃

 

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     【幌 都 集】:落合 魯忠 選

 

   ・どうであれ君の隣で生きている     西嶋りょう子 ・・・ 金鈴抄

   ・異次元号ゼロ番線でお乗り換え     飯澤 理子      〃

   ・あのねのね耳に妖精いるかもね     織田 直生      〃

   ・天の川万の涙をしたたらす       福島あけみ      〃

   ・涼しさが欲しくて海へ会いに行く    恵理 菊江      〃

   ・ポッケから秘密ばらばら漏れる音    亀貝えみ子 ・・・ 秀 句

   ・うっかりと心の窓が閉じたまま     菅谷 子雀      〃

   ・いい色ね似あうと言わぬ秋の空     田村のぶ江      〃

   ・墓掃除よろこぶ父と母の顔       桐澤都志子      〃