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【あかしや集】:岡崎 守 選
・狂ったか平和の重み血にまみれ 後藤 信子 ・・・ 特選句
・ウクライナ戦禍涙が止まらない 清水 玲子 ・・・ 秀 句
・鯉のぼり心のゆとり見せ泳ぎ 永瀬 和弥 〃
・町内に一軒ひるがえる国旗 村形 茂 〃
・夜桜に沈めた微熱疼き出す 荒井ともこ 〃
・尽くし足りないのでしょうか桜散る 清水ひろ子 〃
・お友達たかがスマホの中のこと 高宮まゆ未 〃
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【ぽぷら集】:松本 淳子 選
・昨日より一ミリすすむ今日がいい 小杉山雅子 ・・・ 特選句
・語り部の四島を追われた日の無念 出雲恵美子 ・・・ 秀 句
・鍋奉行仕切り忘れてひとり鍋 岡崎 光子 〃
・チョコレート握手のかわり手のひらへ 菊地 昌代 〃
・夢と舞う平和を叫ぶ鯉のぼり 橋本利恵子 〃
・辞書にない流行り言葉がとおせんぼ 中津 遊水 〃
・結び目にゆとりが出来て共白髪 櫻井 裕太 〃
巻頭言
「日常の扉」
桜が咲き、雀たちが笑顔で会話をしています。そんな明るい情景を見ながら、
早く日常が戻らないかな、と晴れない心を慰めています。
平穏な日常、日常の会話、制約のない集い等が、如何に大切なのかを痛感さ
せられています。マスクをするのが当たり前の生活となり、人間関係の希薄さ
が気になります。そして、素顔を忘れた結び付きの薄さを感じています。
句会や大会が中止や誌上での開催となり、顔を会わせる機会が極端に減って
おります。こんな時だからこそ、川柳をやっていて良かった、との多くの声が
寄せられます。それは孤独ではない、仲間がいてくれる、作句が心の拠り所と
なる、等の心の結び付きの輪が有るからではないでしょうか。
連絡が出来る友達が、川柳誌によって切磋琢磨が、非日常の扉を開けてくれ
るからではないでしょうか。五七五音に心を委ねて、苦境を乗り越えようとす
る作家精神が、日常を支えてくれるからではないでしょうか。
喜怒哀楽を詠う川柳だからこそ、苦境を打開する強い詩心が沸き起こり、明
日の光が見えるのだと思います。五月の陽光を浴びて、心の扉を開けて、再会
の笑顔を待ちましょう。
「晴れやかに開けよう日常の扉」 岡崎 守
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【幌 都 集】:澤野優美子 選
・しがらみが切れてなくした糸切歯 福島あけみ ・・・ 金鈴抄
・靴紐をぎゅっと結んで君の胸 亀貝えみ子 〃
・卒業の季節に開く一頁 桐澤都志子 〃
・人間はミスを重ねてヒトになる 木下 昭夫 〃
・わが家には天動説がひとり居る 高橋 節也 〃
・春の陽をメインデッシュに新メニュー 飯澤 理子 ・・・ 秀 句
・ねむれない蕎麦殻枕こそこそと 浜田 恵 〃
・ハラハラを想定内と腹据える 米澤とよ子 〃
・誇らしく見える夫の表札名 佐藤 園江 〃