2021年7月号

巻頭言

  「歴史の音色」

 

     川柳人の高齢化と、新規加入者の減少によって、川柳社等の閉会が続いておりま

    す。長年の歴史が途絶えることは残念なのですが、他のジャンルにおいても同様で

    すので、受け入れざるを得ないのかも知れません。

     しかし、存在した歴史だけでも遺さなければと考えています。創立から閉会まで

    の歴史を書き残すことは、誰かがやらなければなりません。柳誌や写真は散逸し、

    書き残す人も亡くなって行きます。大切な川柳の遺産が消えてしまうのです。

    残念でなりません。

     今回、歴史の音色として元会長さんに執筆して頂きました。順次「さっぽろ」誌

    に掲載しようと考えています。楽しみにお待ちください。

     故斎藤大雄著「北海道川柳誌」、「札幌川柳社五十年史」、「北海道川柳連盟五

    十年史」、昭和55年版より発行の「北海道川柳年鑑」は令和3年版で第四十二集と

    なります。これらの著作に遺された汗の歴史は、川柳の文化遺産として後世に引き

    継がれて行くのです。

     川柳資料館は夢なのですが、川柳人が力を合わせて、貴重な資料を遺したいと思

    っています。一冊の柳誌や句集から、歴史の音色が響いてきます。その音色を大切

    に守りたいと思っています。

 

       後世へみんなの力よせ合って  岡崎  守

     

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    【あかしや集】:岡崎  守 選

 

    ・街の灯が消えた令和のものがたり    小野寺三陽 ・・・ 特選句

    ・ゲームやめ陽と遊ぼうよ養殖魚     高宮まゆ未 ・・・ 秀 句

    ・他人事よ余生残生第四波        松本 淳子      〃

    ・傲慢なヒト科試しているコロナ     北畠 句朗      〃

    ・本当は怖いワクチン注射針       堺 あつ子      〃

    ・手回しの地球 よろよろする平和    梶川 詠児      〃

    ・命たまゆらグレーゾーンの地球     大久保貴美子     〃

 

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     【ぽぷら集】:鈴木 英雄 選

 

    ・退院の父の背中をただ擦る       東  考矢 ・・・ 特選句

    ・微笑みの皺に幸せ無限大        岡崎 光子 ・・・ 秀 句

    ・シーグラス透かして覗く遠い国     櫻井 裕太      〃

    ・立ち上がるヒントユーモアからもらう  西原 真一      〃

    ・許せたらスーッと涙落ちてきた     菊地 昌代      〃

    ・突っ走る君にあげたい句読点      遠藤 俊二      〃

    ・未来地図描いて進む八十路坂      長内 寿一      〃

 

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     【幌 都 集】:酒井 麗水 選

 

    ・添える手が言葉の無力埋めていく    宇佐美愼一 ・・・ 金鈴抄

    ・バラ一本ステイホームの鬱晴らす    高嶋 克明      〃

    ・寝違えて安全ピンの弾む音       河野 潤々      〃

    ・夢つなぐ母から娘へのフラメンコ    亀貝えみ子      〃

    ・ウイルスが追いかけてくる人の波    西嶋りょう子     〃

    ・ベクトルのはじまりは鳥コロナ戦    福島あけみ ・・・ 秀 句

    ・プラのゴミもう満腹というクジラ    木下 昭夫      〃

    ・窓閉じて心のままにピアノ弾く     三上 弘子      〃

    ・菜園のガングロジジイ若がえり     織田 直生      〃