2020年5月号

巻頭言

  「句会の意義」

  

    新型コロナウィルスの猛威により、3・4月の本社や各地句会は中止となりました。これま

   での歴史の中では、初めての事ことだと思います。

    毎月のことですが、15日位は川柳関係で出掛けていますので、穴の空いたカレンダーを眺め

   ながら、気の抜けた日々となりました。やはり人間は追い駆けられている方が幸せで、気力も

   充実するのだと実感させられました。

    句会に出席するとは、単に作品を競い合うだけではなく、お互いの元気な笑顔を確かめ合い、

   結び付きの深さと喜びを確認し、心を豊かにしてくれる貴重な時間の共有なのだと知らされま

   した。句の巧拙なんて考え方で、好きなことを出来る喜びに感謝し、川柳人との交流の深さに

   感激することなのだと思っています。

    人間なんて我が儘なので、句会の意義なんて真剣に考えていないような気がします。今回の

   休会を体験して、競吟の裏に秘められている、人間を学び合う座の文芸の素晴らしさを再認識

   したいと思います。

    皆が孤独を抱えています。その孤独をお互いのものとして、楽しく笑い合える、心を癒し合

   える、自分詩を残し合える句会にと考えています。残された時間を無駄にしないように。

 

        神頼みCOVID19終焉に   岡崎 守    

 

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【あかしや集】:岡崎  守 選

 

   ・絵手紙のハートをつなぐ花便り    中村 秀子 ・・・ 特選句

   ・非正規をタップリ春の社が始動    小原 金吾 ・・・ 秀 句

   ・青空が広く感じる鯉のぼり      松本 淳子      〃

   ・生き抜いて何時か桜のように散る   下田 幸子      〃

   ・陽がのぼる小鳥も水も春の歌     竹村 澄子      〃

   ・出会うのはマスクの美男美女ばかり  村山 道子      〃

   ・口紅を差すか迷ってマスク付け    桂川 郁子      〃

 

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【ぽぷら集】:鈴木 厚子選

 

   ・花束を買うも渡すも照れ臭い     高橋 正幸 ・・・ 特選句

   ・あれもこれも引き受けすぎる紙袋   高橋かおり ・・・ 秀 句

   ・満月に海馬散歩に行ったきり     成田きさらぎ     〃

   ・小憎らしい段差に泣いた一センチ   山本 貞子      〃

   ・爺様も小顔に見えるマスク買う    相澤 重明      〃

   ・春風に子猫四匹会議中        関根 和江      〃

   ・鶯が迎えてくれる寺社参り      淡路  獏      〃

   ・口調でひょいと定年書き換える    西原 真一      〃

   

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【幌都集】:酒井 麗水 選

 

   ・哀も恋も桜で包み行く五月      長内 寿一 ・・・ 金鈴抄

   ・累累と貝塚 連綿と家族       宇佐美愼一      〃

   ・あんま器に肩を抱かれる旅の宿    福島あけみ      〃

   ・比例する笑った数と脳の皺      石出 栄光      〃

   ・尖った夫婦を和える塩こうじ     出雲恵美子      〃

   ・日に一句終えて遠くに丸い月     八巻 達郎 ・・・ 秀 句

   ・ホスピスの受話器に弾む声を聞く   橋本利恵子      〃

   ・惜しまれて家業を畳む満ちた月    三上 弘子      〃