2020年1月号

  巻頭言

     「日清月歩」

 

   明けましておめでとうございます

    令和二年の幕開けを、皆様がそれぞれの感慨に浸りながら、新たな気持ちで元気に迎えられたこと

  と思います。今年も公私ともによろしくお願い致します。

   川柳を心の拠り所として、結び付きの深さを心の支えとして、歩み続けられることに感謝したいと

  思います。世の中は、絶え間なくどんどん進歩していきます。その進歩に翻弄されながら、日々の一

  歩を自己の人生として刻み続けています。その一歩を川柳が優しく、厳しく見つめています。

   長老、向労、愚老、快老、労苦さまざまな言葉がある。しかし、いくら「老い」について講義を聞

  いても、人々は本当に納得していないのではないか。老いを自分の心身にまざまざと感じた時、はじ

  めて人は老いの恐ろしさを実感する。(瀬戸内寂聴著「生きてこそ」より引用)

   老いの恐ろしさを少しずつ実感しながら、川柳に吐き続けることが、日進月歩ではないでしょうか。

   喜怒哀楽を見つめ、生老病死を嚙み締め、十七音の不可思議さを追い求める。それが川柳人の楽し

  みだと考えています。心に若さを、心に光を。明るく楽しい一年を願って。

         「吐き出した一句が光る生きている」   岡崎 守 

 

 

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【あかしや集】:岡崎 守 選

 

   ・長生きを小銭で願う初詣       石川 黎華 ・・・ 特選句

   ・雑煮まで擬きで済ます一人者     佐藤 陽子 ・・・ 秀 句

   ・処女雪をとんとん踏んで待ち合わせ  柏木 俊子      〃

   ・黄昏の花野令和の山頭火       山口 昭悦      〃

   ・雪よ降れ我が情熱のエピソード    藤澤美津子      〃

   ・天気予報ついでの様に北の地図    小原 金吾      〃

   ・煩悩も生きる力の薬味です      大久保貴美子     〃

 

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【ぽぷら集】:鈴木 厚子 選

 

   ・シップ貼りわけーもんには負けねーど  櫻井 裕太 ・・・ 特選句

   ・紅をさす口角あげて初鏡        山本 貞子 ・・・ 秀 句

   ・初夢は天然色の昭和っ子        大坪 寒流      〃

   ・一行を足して賀状に無事を問う     井上 サヨ      〃

   ・ビヤ樽のカーブに負けぬ俺の腹     番匠甚五郎      〃

   ・湯豆腐のふわりと妻の酌に酔う     原田つとむ      〃

   ・悲しみをブレンドしたら貝になる    岡崎 光子      〃

   ・台風禍神や仏は留守らしい       野島 淑江      〃

 

 

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【幌都集】:酒井 麗水 選

 

   ・幸せはお取り寄せです待てますか    宇佐美愼一 ・・・ 金鈴抄

   ・倚りかかる椅子あることのありがたさ  福島あけみ      〃

   ・七色のサプリを飲んで行く散歩     長内 寿一      〃

   ・元気かと元気知らせる年賀状      高嶋 克明      〃

   ・美女ばかり眼底検査してもらう     河野 潤々      〃

   ・手びねりのぐい飲みふたつスルメ焼く  小山 和子 ・・・ 秀 句

   ・アイアール遊びですむか湧く不安    舘山 悦子      〃

   ・ハイチーズ老いてもみんなVサイン   佐藤 園江      〃