2019年7月号

 巻頭言

  「同人誌の未来」

 

  全国的に短歌、俳句、川柳などの同人誌が廃刊し、結社も閉じる現況が見受けられます。特に全日本川

 柳協会では、近年その数が増加しているとのことです。

  同人誌とは、主義・目的などを同じくする人たちが作品の発表の場として編集・発行する雑誌ですので、

 不特定多数の人たちを対象にしたものではありません。会員などの会費によって成り立っていますので、

 高齢化による会員の減少は、運営に多大な影響を与えることとなります。

  「文芸誌に未来はあるか」の対談で、矢野優「新潮」、武藤旬「文学界」の編集長が現状の厳しさを語

 っています。① 表現の場所の多チャンネル化 ② 折りたたみ型スマートフォンの普及 ③ インターネッ

 トの活発化 ④ スマホの大画面化 ⑤ 高校の国語教育で文学の時間が減らされる 要約してみたのです

 が、現状では製作費を上回るだけの購読者はいないだろうと判断されています。

  商業誌が売れなくなっている現状の中で、同人誌の存続はさらに厳しい時代を迎えています。地道な活

 動による同好者の確保と、川柳の素晴らしさをPRし続けるしかないと思っています。

  一人ひとりが尽力の輪を広げていきましょう。

 

       未来へと和と輪でつなぐ結社の灯   岡崎 守

 

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【あかしや集】:岡崎 守 選

 

    離縁するぞ望むところだ アッハッハ   柴田加奈子・・・特選句

  サバ缶とちんたら令和生きてみる     大久保貴美子・・・秀 句

  自分史のページ令和を織り込んで     石田  酎     〃

  遥かなる昭和や痩せてゆく日本      山口 昭悦     〃

  花の闇だいすきだった手をはなす     澤野優美子     〃

  迷いつつ指輪を抜いて今日は鳥      荒井ともこ     〃

  錆びついた脳がとけゆくリラの風     石川 黎華     〃

 

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【ぽぷら集】:鈴木 厚子 選

 

  チコちゃんに叱られたがる視聴率    横堀由紀子・・・特選句

  会話なく愛は適温持続中        成田きさらぎ・・・秀 句

  あしたへの翼が欲しい誕生日      山本 貞子     〃

  オットット蟻は只今勤務中       野島 淑江     〃

  疲れすぎのっぺらぼうの脳回路     菊地 昌代     〃

  満開の桜がかすむ炭火焼き       番匠甚五郎     〃

  さあ来いよ布団めくって招くネコ    小林ともき     〃

  プラトニックラブは罪になりますか   折原 博美     〃

 

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【幌都集】:川口 まどか 選

 

      姿見と自問自答の誕生日       大坪 寒流・・・金鈴抄

  転び上手になったプチトマト     高橋かおり    〃

  パンドラの蓋を閉じ行く新時代    谷野 幸成    〃

  重圧に耐えて根っ子が太くなり    中川 孝子    〃

  古里の夢を語った夏帽子       石出 栄光    〃

  令和でも妻のルールで上手くいく   高橋 正幸・・・秀 句

  七才で知った終戦忘れない      福島あけみ    〃

  年金の通知書見たら遊べない     猿田 鉄雄    〃