札幌川柳社賞

【令和元年度】

 あ か し や 賞 受 賞・・・澤野 優美子

   ・一老人の栞としての女郎花

   ・鳥になる前のハイビスカスな

   ・花の闇だいすきだった手をはなす

   ・夏だから踵ぷるんとうさぎとび

   ・傾いてまたゆるくなる皮膚呼吸

 

 ぽ ぷ ら 賞 受 賞・・・片山 葉一

   ・美男子も今じゃ終活適齢期

   ・のんびりと余生楽しむあの世まで

   ・風邪引くな転ぶな介護誰がする

   ・これでよし免許返納恙無し

   ・不満なし平均寿命越えました

 

 幌 都 賞 受 賞・・・大坪 寒流

   ・春うらら土に挨拶したくなる

   ・姿見と自問自答の誕生日

   ・年金の海で浮いてる酸欠魚

   ・訃報欄ワタシが載った夢を見る

   ・新風に触れたくなってピンク着る

 

【平成30年度】

 

 あ か し や 賞 受 賞・・・落合 魯忠

   ・奮起する寿限無寿限無を言い終えて

   ・朝蜘蛛と結界までの糸を張る

   ・一子相伝わが家も錆で覆われる

   ・妄想を組み立て直す昼寝して

   ・ひるがえす暗喩の粉をふりかける

 

 ぽ ぷ ら 賞 受 賞・・・藤澤 美津子

   ・雪溶ける愛しい人を待つように

   ・一日が始まるまな板の音水の音

   ・臆病でコップの中から出られない

   ・引き潮が殺し文句をそっと言う

   ・凛と咲く思想を胸に君子欄

 

 幌 都 賞 受 賞①・・・井上 さよ         幌 都 賞 受 賞①・・・菊地 昌代

   ・出直しの一歩の夢をたくす絵馬         ・母に似た爪の形が老いました

   ・ありのまま生きる私の素手素足         ・進化したロボット早くフクシマへ

   ・あたらしい自分に出会う春序章         ・悔しさの我慢まるめて団子汁

   ・微笑みが人の癒しとなる救い          ・生へ死へ一滴の水ささげる手

   ・八十路とて未だ揺れ動く独楽の芯        ・宝ものひょいと掴んだ紐の先