中川てい氏(明治32930日~平成467日)享年94  

   

 

   昭和39年より川柳を始める。昭和401月より句会に参加。

   昭和42年札幌川柳社同人。昭和44年度札幌川柳社功労賞。

   昭和48年白柳吟社副主幹。札幌川柳社顧問。句集「母の舞い」

 

 

≪十七選句集≫ 母の舞いより (川柳叢書第3集)   

                              ・・・岡崎 守 選 

 

 ・うなずいてやればよかった母の愚痴   

 

 ・とび抜けて利巧もいない茶の間の和  

 

 ・回り道しても寄りたい母がいる    

 

 ・開拓の母手造りのボッコ足袋     

 

 ・母の日に明治の母は照れており 

 

 ・唇が猪口まで伸びる注ぎこぼし  

 

 ・人間の幅にずるさも少しある

 

 ・吉報が実感となる呱々の声 

 

 ・暗くとも足が知ってる故郷の道    

 

 ・生と死をくりかえしてる大宇宙     

 

 ・同じ趣味もう初対面にしておかず

 

 ・狭い庭それでも四季の目は楽し  

 

 ・団地から来た孫よろこぶ芋畑     

 

 ・年寄りがいるらしこの家のざっぱ薪    

 

 ・老夫婦いたわり合ってビタミン剤 

 

 ・八十になっても新柄肩にかけ     

  ・小さくとも心の窓は陽に向い