川柳の上達法 ④川柳のリズム
1)耳で聞くリズム
高低はあっても長短は持たない日本語の性格に、外側からリズムを与えたのは、音節ブロック(5音と7音)
の繰り返しという音数律である。ひと呼吸の間に5音7音と調子づけて発音し、小休止したのちに5音で結ぶ
のが快適であり、聞く側にとっても調子よく聞える。
句会などでの耳で聞く川柳では、5・7・5音の流れる間と音調が心地よい調べとなって心に響いてくる。
声の良し悪しは各人によって違うのであるが、その声に合った調べを醸し出すことによって、生きた一句として聞き手側に届けられる。まさに披講する側にとっての晴れ舞台であり、作品を生かすか殺すかは披講の巧拙といっても過言ではない。
一句を生かすためには、その句のどこで間をとり、声量や情感をどのようにコントロールし、いかにリズム感をもたせるかが大切となる。
眼で読むリズム
さて一句を生み出すときに、どれだけリズム感を意識して作句しているであろうか。
5・7・5音の配列だけに注意を払って、リズムにはあまり注意を払ってはいないのが実状ではないだろうか。一句は生み出されたときにすでに快適なリズムが要求され、そのリズムの可否によって佳作にも駄作にもなりうる一面を抱えている。
リズムのない文字にいかにリズムを持たせて一句を完成させるのか、それが作者としての楽しみでもあり苦しみでもある。文字の配置にリズムを持たせることは、字余りや字足らずの一句を生み出さないための予防策でもある。5・7・5・と指を折ることも大事だが、同時にリズム感より大切なのだということを再認識する必要がある。
一句を生かすためには、文字の組み合わせの段階からリズムを意識し、文字を音声化して聞かせる一句を生み出す必要がある。
作品のリズム
ここでは、第33回全日本川柳2009年札幌大会の作品を参考にして検証してみる。あくまでも僕のリズム感に基づいてであり、作者とは想いが違うかもしれない。
青い空宇宙遺産にしませんか 津田 暹
この作品は、5・7・5音のリズムで17音の定型である。
実印を彫って家族の盾とする 小沢 淳
この作品は、5・7・五音のリズムの17音の定型ともとれるが、披講する側としては、5・7・5音のリズムでは披講はしたくない作品である。実印を彫って 家族の盾とする として、8音・9音で披講する2句態としたい。
牛の瞳の中で毀れてゆく地球 進藤 一車
この作品は、②の作品と同じように2句態の作品として披講したい。牛の瞳の中で 毀れてゆく地球
いのちちりじり 交差点のナイフ 岡崎 守
この作品は、始めから二句一章の作品を意図して、一字アケとして作句した。④いのち ちりじり 交差点の ナイフ まさか、3・4・6・3音と区切って披講する訳にはいかない。7音+間+9音として、17音と考えている。
二句一章。十七音一章の中に一カ所の空間を置き、その空間を距て
て、一章が二句に区切られる形の句。一章が、句調、音調とも中句
の部分で二句に切れる形で、主として七・十、八・九の音数配分に
なる句。
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